こんな弾き方していませんか?①
今日は、音楽の話になってしまうため、ピアノをやっていない方はごめんなさい、スルーしてくださいm(__)m
私の音楽は日本で、そして、中学1年の時からカナダのトロントで学んできました。
知らず知らずののうちに日本で学んだ弾き方は抜けていったように思います。
大学生の頃から参加していた夏期音楽キャンプで日本の音大生がたくさん来ていて、日本の音楽を聴く機会がありました。その頃は、まだテクニック重視の演奏が多かったです。そんな中、今、日本の音楽は変わろうとしている、十数年かかるかもしれないけれど、徐々に変わって行くと思う、と話してくれた人がいました。
では何が違うのでしょう・・・。そう、今話題になっている「脱力奏法」なんですね。小さい頃、日本で習っていた時は、ハノンやチェルニーを使って「指を高く持ち上げて」と散々言われて育ちました。
では、今はどう弾いているのでしょう。
①鍵盤を打っていませんか?
指だけで弾いていないでしょうか。指に力が入っていないでしょうか?指だけの弾き方は、鍵盤を打つような弾き方になり響きが無く硬い音になってしまいます。
ではどうしたらよいのでしょう・・・
まず、ピアノを弾く形を取ります。肩を持ち上げてからストンと落とします。すると肩から力が抜けます。手をパーかグーにして思いっきり力を入れます。手首から先の力を抜いてみます。手首からだらんと下がりますよね。その時、腕の力も抜けているはず。ちょっと外側へ肘を出します。力を抜けていると腕の重さを感じられると思います。そっと力を入れないようにして手首を持ち上げ、前腕と手首は平らになるようにします。手の形を綺麗なドーム型にして、そっと鍵盤の上へ置きます。
では、鍵盤を弾いてみます。どの音でも構いません。どこにも力を入れないまま、そっと鍵盤は押してみます。
その時、指の重さだけで下ろします。わかりにくかったら4の指(薬指)で試してみてください。4の指の重さを感じながら、鍵盤の1センチほど上からポンと鍵盤を押してみます。
もう一度言います。弾くためにどこにも力は入れません。ですから、弾いた後も肩・腕・手首・手の形・指の形はいっさい崩れません。指の重みだけを感じて。
音を大きくする時は、手首の重さを指に伝えるようにします。
大きくなればなるほど、手首を少ししならせていきます。背筋→腕→手首→指という感じで身体を使って行きます。
決して指だけでは弾きません。
文章だけではわかりにくいとは思いますが、そのように私は弾いています。
この弾き方をもっとも繁栄できるのがドビッシーです。
我が教室の優秀な生徒さんが、去年ドビッシーの「沈める寺」を発表会で弾きました。初日のレッスンでまず言ったことは「弾きません」でした。
ピアニッシモでオクターブの6音の和音から始まり、5音の和音が続きます。最初の6音の和音の響きに、♩の5音の和音が響きを重ね合わせていくものです。
これこそ全ての和音を「弾いて」しまっては、各和音が独立してしまい、重なり合うハーモニーが消えてしまいます。また、指に力が入ったまま弾くと、音の伸びがなくなってしまいます。正に指の重さだけで充分です。柔らかく、伸びの良い音色が出ているはずです。ホールならば、更に響きを増して広がって行くでしょう。
難しいのは、全曲、この弾き方を維持することです。慣れていないとどうしてもどこかでピクリと力が入ってしまったり、力を入れたくなりますが、慣れてくればとっても楽な弾き方でもあります。
ここからはフォルテ・フォルティッシモと重厚な場面へと入って行きます。
音が大きくなったからと行って力を入れてしまってはダメ。大きい音だからこそ、力を抜いて背筋からの弾き方へと変えていきます。イメージとしては、ピアノの中から音が噴水のように噴き出す感じでしょうか?腕は、大きな大きなクマのぬいぐるみを大事に包む感じ・・・かな。
生徒さんの本番での演奏、実に見事な響きを作り上げてくれました。
ある先生の言葉です。
Don't fight with a piano. Enjoy and play with your piano.
ピアノとケンカしてはダメ。 ピアノと共に楽しんで遊ぼう。
長くなってしまったので、続きは次回へ。
子供たちが小さい頃から、唯一食べさせていたかき氷。
ところが、2年前のかき氷ブーム以来、ものすごい行列が出来てしまい、近所なのになかなか食べに行かれない。
→はほうじ茶氷。香りが高く、私は抹茶より好き
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コメント
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身につけたい奏法なのですが、なかなか。
特に発表会では力が入りがち。
少しずつ少しずつですね。
投稿: anan | 2016年10月12日 (水) 11時52分
ananさん
まずは手首を柔らかく、です。
後は呼吸も大事。呼吸をすることで、身体の力をある程度コントロールできると思います。やってみてくださいね。
投稿: Mikiko | 2016年10月12日 (水) 12時20分