真白き富士の根
「真白き富士の根」 三角錫子作詞・ガーデン作曲
真白き富士の根 緑の江の島 仰ぎ見るも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々しきみ霊に 捧げまつる 胸と心
ボートは沈みぬ 千尋の海原 風も浪も 小さきうでに
力もつきはて 呼ぶ名は父母 恨みは深し 七里ヶ浜辺
み幸はむせびぬ 風さへ騒ぎて 月も星も 影をひそめ
み霊よいずこに 迷いておわすか 帰れはやく 母の胸に
御空に輝く 朝日のみ光 闇に沈む 親の心
黄金も宝も 何しに集めん 神よ早く 我も召せよ
雲間に昇りし 昨日の月影 今は見えぬ 人の姿
悲しさ余りて 寝られぬ枕に 響く浪の 音も高し
帰らぬ波路に 友呼ぶ千鳥に 我も恋し 失せし人よ
つきせぬ恨みに 泣く音は共々 今日も明日も かくて永久に
逗子開成中学・高等学校で歌われてきた曲です。
1910年、学生12人が海で遭難しました。
海を捜索中、当時葉山で静養中だった大正天皇(当時皇太子)が、馬で学校までいらしてお言葉を掛けられたそうです。
全員見つかりましたが、中には4人兄弟も含まれていました。海から引き揚げた時、長男が末の弟をきつく抱きしめていたそうです。
その追悼式で、鎮魂歌として、鎌倉女学院の教師だった三角錫子師が、イギリス人Gardenの曲に作詞し、女学院の生徒が歌ったようです。もともとは讃美歌だったようですね。
さて、息子がこの学校に通っていたことから、在学生・卒業生の母によるコーラスに3年ほど前入会し、この曲に出会いました。
学校の総会ではもちろんのこと、コーラスの定期演奏会でも必ず歌います。
人前で歌うということは暗譜しなくてはならず、暗譜するにはかなり練習することになります。
でも、歌い始めると、涙が出てきて練習にならないんです。「呼ぶ名は父母」「早く帰れ 母の胸に」「神よ早く 我も召せよ」なんて、もう堪りません。
それでも、練習をしていたら、ある時から、フッと涙が出なくなり、歌えるようになりました。
それでも、ステージで歌っているとき、観客で泣いている方を見ると、ググっと来てしまうことがあります。ですから、この歌を歌っているときは指揮者を見るか、誰も見ないで、逗子の海を思い浮かべながら歌うようにしています。
明日、学校の総会で歌ってきます。
6月の定期演奏会ももうすぐです。
静かな気持ちで、この12名だけではなく、親よりも先に亡くなってしまった子どもたち、そして、子供を亡くしてしまった親の気持ちを思いながら歌ってきたいと思います。
更に、その想いが、聴いているお母様方・お父様方に伝わることを願って。
富士山・その下に江の島・手前が逗子の海です。湾になっています。
学校からの逗子海岸
お天気が良いとサーフィングにウィンドサーフィング、ヨットもたくさん出ています。
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コメント
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こんばんは~
真白き富士の根聞いた事が無かったので、You Tubeで今聞きました
始めは良かったのですけれど、文字を読みながら歌を聴いていると
とても辛い歌でMikikoさんの説明も有り、その光景が頭に有って
最後までとても聞けませんでした。もの凄い内容のうたですね。
中・高校とこの歌を歌う子供たち、只の活字としてでは無く心に感じる物を持ってくれたら良いと願います。
明日のコーラスキッとその場に来てくれている方へは通じると思います。
頑張って歌って下さいね
投稿: na nori | 2013年4月19日 (金) 23時57分
この歌は、こどものころ、母、姉たちとよく歌っていました。
実家では、よく歌を歌っていましたね。中国からの引き揚げ者
で、5人の子どもに教育を授けるだけで精一杯だった我が家。
姉たちが習ってきた歌を、家で母と私たち妹も歌うのが
「食後の楽しみ」でした。
逗子開成中学は「真白き富士の根」の学校で、
歌をとおして、この名前を刻み込みました。
mikikoさん、息子ちゃんによって、さらにこの歌と結びついたのですよ。
実際に学校を訪れ、海をみたときも、この歌が唇に......。
何年振りでしょうか、ブログのタイトルを見たとたん、
歌いだしていました。1番だけですけど........。
最初から、最後まで歌えるように、練習しましょう。
3.11で波間に消えた多くのいのち、残された人々の胸に
届くように...........。祈っています。
投稿: ロコ | 2013年4月20日 (土) 01時03分
恥ずかしながら、歌もエピソードも初めて知りました。
(ボクもYou tubeで視聴させて頂きました)
時に牙を向けることもある海もまた、穏やかな凪の情景は実に素晴らしい
哀しくも犠牲になられた方は…しかし、きっとこの海を恨んだりはしないでしょう。
末永く歌い継がれて欲しい名曲ですね。
投稿: bill | 2013年4月20日 (土) 21時44分
na noriさん

ただいま
歌ってきました。寒いうえに冷たい雨・・・
「真白き富士の根」は、私は総会で歌うの4回目だったのですが、一番良い出来だったと思います。言葉を表現できたんじゃないかなと思うんです。
いつか、最後まで聴いてみてくださいね
投稿: Mikiko | 2013年4月20日 (土) 22時10分
ロコさん
コメントありがとうございました。
母世代は、この曲を知っていますね。ペギー葉山さんも歌っていましたし。
逗子開成も110周年を迎えました。この事故が起きた頃は、まだ海軍との繋がりもあり、子供たちの捜索に海軍も出たようですね。
ロコさんは、前回の演奏会に来ていただきましたものね。ありがとうございました。
今年もいらしてくださいm(__)m
ロコさんのご家族のお話は暖かいですね。ご苦労もたくさんされたのでしょうに、いつも心温まるお話で素敵です。
ぜひ、最後まで歌ってみてください
1番はユニゾンでアカペラ(伴奏無し)です。一番難しいところです。
投稿: Mikiko | 2013年4月20日 (土) 22時18分
billさん

コメントありがとうございました。
視聴していただいたんですね
6/8拍子で波を表現しているのでしょうね。
今日は、鎌倉・江の島の方には、たくさんヨットが出ていました。大会でもあったのでしょうか?
逗子の湾の中はウィンド・サーフィングがカラフルに横切っていました。
学校にも碑がありますが、稲村ケ崎にも兄弟の碑があります。
そこには「七里ヶ浜の哀歌」として、この詩が記されています。
投稿: Mikiko | 2013年4月20日 (土) 22時26分
すっかり忘れていた歌を思い出しました。
ちょっと口ずさむならともかく、人前で歌うとなると
難しい曲だと思います。
ご成功おめでとうございます。
投稿: anan | 2013年4月24日 (水) 17時56分
こんばんは~
なので知っています
最近タブレットで ぽち・ぽち するようになって、スルーしてしまっていました・・・
フォーリーブスってご存知ですか?歌っていたんですよ
投稿: wadatumi | 2013年4月26日 (金) 23時29分
ananさん
コメントへの返信が遅くなってしまってごめんなさい。
懐かしい曲でしょう
アカペラが難しくて・・・ちょっと気が緩むと下がって行ってしまうので・・・。
6月の演奏会では、最後に歌うので、下がりはしないかな。
投稿: Mikiko | 2013年4月27日 (土) 22時10分
wadatumiさん
コメントありがとうございました。
フォーリーブス、もちろん知っていますよ

そうでしたか、彼らが唄っていたんですね。
ペギー葉山さんも歌っていましたし。懐かしい方々ですね
でも、学校で出会うまで、歌詞が6番まであるなんて知りませんでした
長いです・・・
投稿: Mikiko | 2013年4月28日 (日) 08時37分